1 裁判例を踏まえた整骨院の利用方法
裁判例では、整骨院の施術費用の相当性が争われることがあります。すなわち、加害者側の保険会社は、カルテによれば整形外科医の指示は一切ない、整形外科での治療日数よりも整骨院の施術日数が多いなどと主張し、整骨院の施術費用は損害として認められない、認められるとしても一部に限られるべきと主張してくることがあります。
そして、裁判所も、医師の指示がない、施術日数が治療日数に比べて多すぎる、施術の効果が現れていない、治療の部位とは異なる部位に施術が施されているなどと判示し、施術費用の全額を認めなかったり、一部のみしか認めなかったりすることがあります。
以上の裁判所の傾向を踏まえれば、被害者側とすれば、整形外科の通院よりも、整骨院の施術を優先することは控えるべきです。すなわち、治療のメインはあくまで整形外科の通院にするべきであり、サブとして整骨院を利用するべきです。整骨院のほうが夕方以降も開いているなど融通がきく上、直接患部を押してくれるなどから整骨院を治療のメインに据える方もおられますが、裁判所は西洋医学である整形外科の治療を東洋医学である整骨院の施術よりも優先していますので、気を付けるべきです。なお、加害者側の保険会社の担当者の了解のもと整骨院に通院していたとしても、裁判所はそのことをもって相当性ありとはしませんので注意が必要です。
また、裁判所は、整形外科の医師の指示のもと整骨院に通院していることを重視します。カルテに医師の指示がなくても他の事実を総合考慮して整骨院の施術費用の相当性を肯定する裁判例もありますが、被害者としては医師の指示に基づき整骨院に通院することが無難です。
2 最後に
以上、裁判例を踏まえた整骨院の利用方法について説明しました。さらに詳しい説明は、弁護士コラム:【交通事故】整骨院施術費用の注意点、弁護士コラム:【交通事故】整骨院・接骨院の施術費をご確認ください。