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弁護士コラム:【交通事故】整骨院の施術費の諸問題について

2020.11.01
1 整骨院の施術を優先しがちな理由

交通事故に遇われた場合、整形外科の通院と並行して整骨院で施術をしてもらうことがあります。
お仕事をされている方にとっては、整骨院のほうが重宝されることがあります。というのも、整形外科は診療時間が夕方までなのに対し、整骨院は遅い時間でも対応してくれるので仕事帰りに立ち寄ることができるからです。
また、整骨院の場合、痛いところに直接身体を触ってもらえることにより治療効果を感じることができます。
これらの理由から、整形外科よりも整骨院などでの施術を優先される方もおられるようです。

2 整骨院の施術費用が争いとなる背景事情

もっとも、整骨院の施術は東洋医学によるものです。その効果について科学的・合理的に説明できないので、治療の有効性などを疑問視する考え方もあります。

そのため、交通事故の賠償問題では整骨院の施術費の相当性について争いになることがあります。具体的には、損保会社は一括対応で整骨院の支払いを一括対応してきたにもかかわらず、裁判に移行した場合、被告側は施術費用の相当性を争うことが往々にあります。

そして、整骨院の施術費が認められない、あるいは減額されるとなれば、最終的な賠償額が減ってしまいます。すなわち、施術費が認められなかった分だけ、傷害慰謝料や休業損害で補填することになる(結果として慰謝料等から施術費用を支払ったことになる)のです。

3 整骨院の施術費用の要件(要素)~総論

一般的には、以下の5つの要件(要素)を満たすことが必要と言われています。
① 医師の指示(同意)があること
② 施術の必要性・有効性があること
③ 施術内容の合理性があること
④ 施術期間が相当であること
⑤ 施術費(単価)が相当であること
が必要と言われています。

以下では要件(要素)ごとに説明してきます。なお⑤の要件(要素)は裁判で問題となることがほとんどないので、割愛します。

4 医師の指示(同意)があること

訴訟では、被告側は、整形外科の診療録(カルテ)を証拠として提出し、「整形外科医が整骨院の施術を受けることについて同意(指示)をしている形跡はない」などと主張することが多いです。

しかし、整形外科医の同意(指示)がなければ整骨院の施術費用が一切認められない、ということにはなりません。その他の要件を総合考慮して認めている事例も多々あります。

被害者側からすれば、整骨院で施術を受けるに際しては、整形外科医と事前に相談し、診療録に同意する旨を記載してもらったほうがよいことになります。

ちなみに、訴訟では、原告側は、被告契約の対人賠償保険会社の担当者が整骨院に通院することを同意していたので全額認められるべきであると主張することがあります。しかし、裁判所は、担当者の同意を医師の同意と同視することはありません。また、過去には、訴外では認めていたのに訴訟では整骨院の施術費用の相当性を争うのは信義則に反するとして争われた裁判例がありますが、裁判所は信義則違反とはしませんでした。このように、保険会社の担当者が整骨院の通院を許可していからといって、裁判で全額認められるわけでありませんので、注意が必要です。

5 施術の必要性・有効性があること

この要件は、要するに、施術期間中、症状が軽減しているなど治療効果が認められることになります。そのため、治療効果が一進一退の場合は、治療効果があがっていない→施術の必要性・有効性がないと判断される可能性があります。

症状が軽減していることは、施術証明書に記載されていることが必要です。例えば、整骨院に通う前の自覚症状は「荷重時の痛みが大きい」と記載されていたが、通院してからは「荷重時の痛みも消失」と記載されていたとします。この場合は、施術によって症状が軽減されていることが証拠上明らかなので、施術の必要性・有効性が認められます。裁判例の中には、施術証明書の記載を丁寧に引用して症状が軽減していることを認定しているものもあります。

被害者側からすれば、整骨院に対し、症状が軽減しているのであれば詳細に説明して、施術証明書に記載してもらうほうがよいことになります。

6 施術内容の合理性があること

この要件は、要するに、整骨院で施術してもらう部位は整形外科医の診断部位と一致している必要があるとうことです。逆に言えば、整形外科医が診断した損傷部位と異なる部位を施術してもらっていた場合、施術内容に合理性なしと判断されることになります。

裁判例を紹介します。被害者は、当初痛みを訴えていたのは5部位で、治療などにより4部位については痛みが消失していました。しかし、整骨院では5部位にわたる施術を受けていました。このようなケースで、裁判所は施術費の範囲を限定しました(東京地裁令和3年7月14日)。

7 施術期間が相当であること

施術の頻度が受傷の程度に比べて頻回の場合は、相当期間を超える施術費用は否定されることになります。例えば、車体への衝撃の程度が低いため身体への衝撃の程度も大きくないにもかかわらず、症状固定日まで月の半分以上にわたって通院していた場合は、相当期間を超えると判断されることになります。

ちなみに、前述した東京地裁令和3年7月14日では、被害者は事故翌日からの68日間のうち30回とほぼ2日に1回通院していましたが、相当期間を超える部分について認めませんでした。

8 最後に

交通事故における整骨院などの施術費について説明しました。
以上の裁判例を踏まえた整骨院の利用方法については、別記事、弁護士コラム:【交通事故】裁判例の傾向を踏まえた整骨院の利用方法も併せてご確認ください。

イーグル法律事務所では交通事故のご相談は無料で承っております。お困りの方はイーグル法律事務所までご相談ください。

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