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弁護士コラム:【交通事故】追突事故による衝撃の程度

2021.06.06
1 はじめに

追突事故の被害者は、事故をまったく予期せず防御体勢が取れない状態で事故の衝撃を受けることから、頸部や腰部などのむちうち症による後遺症が残ることがあります。

裁判例によれば、症状固定後、後遺障害14級と認定されるためには、少なくとも、事故の衝撃の程度が軽微なものではないことが必要と考えられています。

また、そもそも被害者は受傷したのか判断するにあたり、事故の衝撃の程度を考慮されます。

裁判例によれば、衝撃の程度は、①被害車両の追突による移動距離、②修理箇所・修理費の高低、③加害車両の速度、④エアバッグ作動の有無などの考慮要素に基づき判断されます。

以下では、各要素について、順に説明していきます。

 

2 ①追突による移動距離

追突事故の場合、被害車両が追突により何メートル前方に移動したか(押し出されたか)が一つの指標となります。まったく移動していない場合は衝突による衝撃の程度は軽微ということになります。なお移動距離は、実況見分調書に基づき認定します。

例えば、移動距離が約0.5メートルの裁判例では、衝撃は「大きくない。」と評価したものがあります。
他方で、移動距離が約0.8メートルの裁判例では、衝撃は「決して軽微なものではない。」と評価したものがあります。

 

3 ②修理箇所、修理費の額

被害車両と加害車両の損傷の度合、修理費用の額も考慮されます。
以下では、衝撃の程度が大きくない、軽微であると評価された裁判例を紹介します。

①被害車両の損傷がリアバンパーの凹損で、修理費用が11万円ほど、うち3万円ほどが塗装費であった、対して加害車両の損傷箇所は外観上確認できなかった裁判例では、事故の衝撃の程度が大きなものではないと評価されました。

②被害車両についてリアバンパートリムパネル、バンパーカバー、ホイールアーチトリム、リアエプロンの交換等のため32万7447円を要すると見積もられた事案では、損傷の程度は比較的軽微と判断されました(東京地裁令和3年10月29日判決・自保ジャーナル2110号)。

③被害車両の損傷は後部バンパーの塗装が中心で、修理費の総額は6万4670円の事案では「衝突が強度なものであったとは推認することはできない」と判断されました(大阪高裁令和3年9月14日・自保ジャーナル2113号)。

④リヤバンパーに擦過痕が生じ、修理費はリヤバンパー取替と塗装で、修理費が9万3782円の事案では、車両の損傷は軽微とされました(東京地裁令和3年11月8日)。

反対に、衝撃の程度が軽微なものとはいえないとした裁判例を紹介します。

⑤被害車両に大きな凹みはないが、リアバンパフェイシアの取り替えのほか、リアフロアと左リアサイドメンバの修理を要し、その修理費用が15万3000円のケースについて、衝撃は必ずしも軽微なものとはいえないとしました(福岡地裁令和3年7月8日)。

以上の裁判例からすれば、被害車両の修理費用(塗装費用除く)が10万円以下のケースでは、衝撃の程度は大きくないと判断されることが多いと思われます。

 

4 ③速度

加害車両が一度停止してその後発進した事案では「本件事故は低速での追突であり、それによる衝撃も大きくないと考えられる。」とした裁判例があります(東京地裁令和3年9月22日判決・自保ジャーナル2111号)。

 

5 ④エアバッグの作動の有無

裁判例では、被害車両のエアバッグが作動しなかったことを、衝撃の程度が大きくなかったことの考慮要素の1つとした事案があります(大阪高裁令和3年7月15日・自保ジャーナル2219号)。

 

6 同乗者の治療状況

裁判例では、同乗者の短期間(例えば1ヶ月)で治療終了となっていることなどから、衝撃の程度は大きいものではないとした事案があります。

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