1 はじめに
相続法改正により、例えば妻が義理の父の療養看護をした場合、相続人に対し特別寄与料の請求をすることができます(令和元年7月1日以降に開始した相続が対象となります。)
特別寄与料の請求は期間制限があります。
以下ではこの期間制限についてご説明します。
2 期間制限の内容と趣旨
法は、特別寄与料の請求について「特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6箇月」以内及び「相続開始の時から1年」以内という制限を設けました(民法第1050条第2項但書)。なぜこのような期間制限が設けられたのでしょうか。
第1に、期間制限を設けなかった場合、相続人は親族から特別寄与料の請求をされるのか、される場合は幾ら請求されるのかについて,いつになっても分かりません。こうした相続人の不安定な地位を一定期間経過すれば解消させる必要があります。そこで、特別寄与料の請求に期間制限を設ける必要があります。
第2に、特別寄与料の請求をする者は被相続人の近くにいる者がほとんどです。そのため、特別寄与料を請求する者は相続の開始(被相続人が亡くなったこと)を容易に知ることができるため、特別寄与料の請求に期間制限を設けたとしたとしても、またその期間を比較的短くしたとしても酷ではありません。
第3に、特別寄与者が被相続人の相続開始を知ったものの、その相続人等の存在を把握できなかった場合、特別寄与料の請求をすることはできません。そこで、法は,特別寄与料の請求について短期の期間制限を設けるとともに、起算点について相続の開始だけでなく相続人を知った時としたのです。
3 「相続人を知った時」とは?
ところで、特別寄与者が「相続の開始及び相続人を知った時から6箇月」以内という期間制限は、除斥期間とされています。
「相続人を知った時」とは「当該相続人に対する特別寄与料の処分の請求が可能な程度に相続人を知った時」とされています(静岡家庭裁判所令和3年7月26日)。
そのため、特別寄与者が相続人の氏名及び住所を正確に知った時から起算するわけではありません。
4 最後に
以上、親族の特別寄与料の請求について期間制限についてご説明しました。
特別寄与料の請求について詳しいことは、弁護士コラム:【遺産相続】特別寄与料の支払請求をご確認ください。
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