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弁護士コラム:【遺産相続】特別寄与料の支払請求

2020.07.13

相続法改正により,特別寄与料の支払請求(民法第1050条)が創設されました。
これは,例えば夫の妻が義理の父の療養看護を長年にわたって行ってきた場合,夫の妻に対し正当な対価を請求する権利を付与する制度になります。

今回はこの制度が新たに設けられた理由を説明します。

特別寄与料の支払請求が創設された理由

弁護士法人イーグル法律事務所1 典型的なケース

例えば,太郎さんは要介護状態にありました。そのため,息子二郎の奥さんであるサクラさんは,太郎さんを長年にわたり在宅介護してきました。太郎さんは遺産を遺して亡くなりました。

 

2 遺産分割ではどのように扱われるのか?

遺産分割では,「相続人」が被相続人の療養看護等の貢献をしたとき,その「相続人」に寄与分が認められ,法定相続分よりも多くの遺産を取得できます。そのため,仮に二郎さん(相続人)が太郎さんの療養看護をしていたとすれば,その貢献は遺産分割の際に寄与分として評価される可能性があります。

ところが,サクラさんが太郎さんの療養看護をしたとしても,サクラさんは太郎さんの「相続人」ではないため,寄与分は認められません。そこで,相続法改正前,サクラさんは,以下のような方法により,相続財産の中から療養看護に相当する対価を得ることになります。

 

3 次善策①~準委任契約

第1に,サクラさんは,太郎さんとの間で療養看護について報酬の取り決めをすること(法律的には準委任契約の締結といいます。)が考えられます。
これにより,サクラさんは生前太郎さんに報酬請求し,死後は太郎さんの相続人に対し(未払い分の)報酬請求をすることができます。

しかし,親族間でわざわざこのような契約をする人がいるでしょうか。また,サクラさんにこのような取り決めを求めることは酷といえます。

 

4 次善策②~遺贈

第2に,サクラさんは,生前,太郎さんに,「サクラに○○を遺贈する」という遺言書を作成してもらうこと(法律的には遺贈といいます)が考えられます。
これにより,相続人ではないサクラさんも相続財産の中から遺産を取得することができます

しかし,太郎さんが自発的に遺贈をしてくれればよいですが,そうでなければサクラさんは太郎さんに「私のために遺言を書いて下さい。」と促すことが求められます。サクラさんに酷な要求といえるでしょう。

 

5 次善策③~養子縁組

サクラさんは,太郎さんとの間で養子縁組をすることが考えられます。
これにより,サクラさんは相続人として遺産分割により相続分に相当する遺産を取得することが出来ます。

しかし,太郎さんが自発的に養子縁組をしてくれればよいですが,そうでなければサクラさんは太郎さんに「私のために養子縁組して下さい。」と促すことが求められます。やはりサクラさんに酷な要求といえるでしょう。

 

6 特別寄与料の支払請求の創設

サクラさんのように被相続人の療養看護など特別な貢献をした者が,その貢献に対して相続財産から何も受け取ることが出来ないのは不公平といえます。そのため,このような者に対し相続財産から一定の分配を受けられる制度を新たに設ける必要性があります。

被相続人としても,サクラさんのように療養看護など特別な貢献をした者に対し,その労を報いるために相続財産の中から一定の財産を与える意思を有しているのが通常といえます。

したがって,被相続人に対し療養看護等の貢献をした者が相続財産から分配を受ける制度を創設することは,被相続人のこのような推定的意思にも合致するといえます。

そこで,改正法は,被相続人の療養看護など特別な貢献をした相続人以外の者に対し特別寄与料の支払請求権を付与することにしたのです。

これにより,サクラさんは,生前に太郎さんと契約を交わす必要はありません(次善策①は不要)。
また,太郎さんが遺言を作成(遺贈)してもらわなくてもよくなります(次善策②は不要)。
さらに,太郎さんと養子縁組をしていなくてもよくなります(次善策③は不要)。
つまり,サクラさんは,太郎さんの相続人に対して,特別寄与料の支払請求をし,相続財産の中から一定額の支払いを受けることができるのです。

 

7 最後に

以上,特別寄与料についてご説明しました。お困りの方はイーグル法律事務所にご相談ください。

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