1 はじめに
年金受給者の死亡逸失利益の計算においては、裁判例では、生活費控除率は50~60%と判断されることが多いと思われます。
その理由は、年金は生活費に充てられる割合が大きいからと言われています。
以下ではこのことについて深掘りしていきます。
2 年金受給者はさまざま
年金受給者にも、家賃収入がある方、大企業の社長で役員報酬を受け取っている方がいます。
これらの方にとって年金はお小遣い程度かもしれません。
そうすると、これらの方の場合、生活費控除率は低いと思われます。
他方で、年金のみで生活している方であれば、年金は生活の糧です。
そうすると、この方の生活費控除率は100%に近いと思われます。
3 まとめ
このように年金受給者といっても様々な属性の方がいるので、一人一人の生活費控除率は異なるはずです。
裁判所は、年金受給者の生活費控除率を個別に主張立証することを認めて、個別具体的に生活費控除率を計算するべきとも思われます。
しかし、理想はそうだとしても、実際にそのような運用にした場合、判断が非常に難しいと思われます。
そこで、裁判所は、年金受給者の個別の事情は捨象して、定型的に判断しているものと思われます。
以上、年金受給者の生活費控除率についてご説明しました。
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