弁護士コラム:【交通事故】年金受給者の死亡逸失利益~生活費控除率について

1 はじめに

年金受給者の死亡逸失利益の計算においては、裁判例では、生活費控除率は50~60%と判断されることが多いと思われます。
その理由は、年金は生活費に充てられる割合が大きいからと言われています。
以下では,年金の生活費控除率が50〜60%と定型化されている理由を深掘りしていきます。

 

2 年金受給者の属性はいろいろ

年金受給者にも、多くの家賃収入がある方であったり,大企業の社長で役員報酬を受け取っている方がいます。
これらの方にとって,年金が生活費に充てられる割合は僅かと思われますので,生活費控除率は低いと考えるべきです。

他方で、上記のように家賃収入や役員報酬がなく,年金だけで生活している方であれば、年金は生活の糧となっています。
そのため、この方にとっては,活費控除率は100%に近く考えるべきです。

 

3 属性ごとに判断するのは困難→定型化

このように年金受給者といっても様々な属性の方がいるので、一人一人の生活費控除率は異なるはずです。
そうであれば,裁判所は、年金受給者の生活費控除率について,原告に対し個別に主張立証することを認めた上で,被害者ごとに生活費控除率を計算するべきとも思われます。
もっとも、理想はそうだとしても、実際にそのような運用にした場合、生活費控除率の判断が区々となってしまう恐れがあります。
そこで、裁判例では,年金受給者の個別の事情は捨象して、定型的に,具体的には50~60%の範囲内で定型的に判断する傾向にあるものと思われます。

なお、最近の裁判例では、年金受給者が持ち家を有していること(したがって家賃の支払いがない)を考慮して、生活費控除率を40%としたものもあります。

また、さいたま地判令和3年6月29日(自保ジャーナル2105)は、高齢者介護施設に入居する79歳女子単身者が被害者について、国民年金と厚生年金の年額が100万4387円に対して、ケアハウス利用料が年額78万2040円だった事案について、原告が生活費控除率を50%で計算したのに対して、生活費として証拠上明らかな利用料を年金額から控除するべきであると判断しました。

 

4 最後に

以上、年金受給者の生活費控除率についてご説明しました。
交通事故でお困りの方はイーグル法律事務所までご相談ください。

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執筆者

弁護士法人イーグル法律事務所 代表弁護士
神戸・明石を拠点に、誰もが気軽に相談できる法律事務所を目指します。
特に年間200件以上の相談実績がある「交通事故」問題や、「相続・遺言」「債務整理」の分野に豊富な経験と実績があります。その他、企業法務から離婚、刑事事件まで幅広く対応。専門家の立場から、皆様のお悩みを解決するために正確で分かりやすい情報をお届けします。

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