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弁護士コラム:【交通事故】治療費の必要性・相当性について

2020.10.09
1 はじめに

加害者側の保険会社は、被害者が受診した病院が発行した診断書と診療報酬明細書を確認し、治療の必要性・相当性が認められれば、治療費を支払います。つまり、被害者が治療費の領収書を出せばそのとおり支払ってくれるというものではないのです。
以下では、治療の必要性・相当性が問題となる2つの場合について説明します。

 

2 過剰診療

過剰診療とは、例えば長期入通院,濃厚治療,不必要な治療の場合のことをいいます。
裁判では、加害者側が過剰診療だったと主張し、治療費の額を争ってくる場合もあります。
その結果、保険会社が訴訟外で治療費を全額を支払っていたとしても、判決では、過剰診療と認められ、治療費の一部しか損害として認定されないことがあります。

 

3 高額診療

高額診療とは、診療報酬単価が余りにも高いことにより治療費全体も高額となることです。

風邪などの治療は健康保険を利用します。健康保険の場合、診療報酬単価は1点10円と決まっています。
これに対して、交通事故治療費の場合、多くの病院では自由診療での治療が行われています。自由診療の場合、診療報酬単価は1点20円以上で計算されることが多いです。

裁判では、加害者側は、健康保険に基づく治療の範囲で治療を実施することが可能だった、同じ治療でありながら健康保険を用いた場合とそうでない場合とで損害賠償の範囲が異なることは加害者を不当に不安定な法的立場に置くことになるなどの理由を述べ、診療報酬単価が1点10円を超えている場合は引き直し計算をするべきだと主張することがあります。

この点について、裁判所は、診療報酬単価が1点20円を超えると、引き直し計算をする場合があります。
例えば、横浜地裁令和3年7月19日判決では、整形外科の治療費の診療報酬単価が1点25円で算定されていたケースにおいて、高度な医療行為が行われたとはいえないので、1点20円に引き直した範囲で事故と相当因果関係のある損害と認めました。

なお、健康保険を利用した治療を受ける場合については、
弁護士コラム:【交通事故】健康保険を利用して治療を受けた場合
をご確認ください。

 

4 最後に

以上、治療の必要性・相当性に関連して過剰診療や高額診療についてご説明しました。
交通事故でお困りな方はイーグル法律事務所までご相談ください。

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