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弁護士コラム:【交通事故】健康保険を利用して治療を受けた場合

2020.10.11
1 はじめに

交通事故に遭った被害者は健康保険を利用して治療を受けることができます。
健康保険を利用した場合の流れについて説明します。

 

2 具体例

Nさんは軽自動車を運転していたところ、Sさんが運転する普通乗用車と出合い頭で衝突しました。
Nさんは,Sさんの保険会社の進言もあり,事故当初から健康保険を利用して通院したとします。
Nさんの治療費は合計300万円、過失割合はNさんが3割でした。
Sさんは任意保険に入っておらず(自賠責保険のみ)、資力はありませんでした。

 

3 第三者行為傷病届を提出する

Nさんは、健康保険を利用して治療を受ける場合、健康保険組合又は市町村に対して、第三者行為傷病届を提出する必要があります。

 

4 健康保険の自己負担額

Nさんは、病院で,自己負担分として,300万円×30%=90万円を支払う必要があります。
なお、健康保険組合又は市町村は、Sさんの自賠責保険会社に対して、210万円を求償することになります。

 

5 被害者請求と求償請求の競合

Nさんは、Sさんの自賠責保険会社に対して、負担した治療費90万円について被害者請求をすることができます。

ところで、自賠責保険の傷病部分は120万円が上限となります。
そのため、Nさんの被害者請求と健康保険組合又は市町村の求償請求のいずれが優先するかが問題となります。

最高裁判例によれば、被害者請求が優先するとされています。
被害者請求は,被害者に自賠責保険の限度額までは最低限保障するために設けられたものです。
最高裁判例はこの趣旨を重視したものと思われます。
よって、Nさんは,Sさんの自賠責保険会社に対して被害者請求をし,90万円を回収することができます。
反対に、健康保険組合又は市町村は、自賠責保険会社から30万円(=120万円-90万円)しか回収できません。

 

6 健康保険と労災保険との比較

仮に,Nさんが今回の事故で労災保険を使うことができたとします。
この場合、Nさんは、健康保険と異なり、治療費の自己負担分なしに治療を受けることができます。

 

7 最後に

以上、交通事故の被害者が健康保険を利用して治療を受けた場合の流れについて説明しました。
交通事故でお困りの方はイーグル法律事務所までご相談ください。

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