1 はじめに
相続法が改正され,遺産の一部分割が新たに認められることになりました。
今回は,この制度について簡単にご説明します。
2 改正の経緯
もともと,実務では,遺産の一部分割は原則として認められていませんでした。
しかし,遺産の中には,争いのある遺産と争いなのない遺産があります。
争いのある遺産とは,被相続人の遺産といえるか問題となる遺産,あるいは評価に争いがある遺産となります。
争いのない遺産については,争いのある遺産に先行して,遺産分割を進めることを認めることにより,遺産分割調停がより使いやすくなるといえます。
そこで,今回の改正で,遺産の一部分割が可能であることが明記されることになりました。
3 一部分割調停申立ての留意点
遺産の一部分割の調停を申し立てる際は,まずは遺産全体を明らかにして,分割を求める遺産を特定する必要があります。
言い換えると,遺産全体を明らかにせず,ある特定の遺産だけの分割を求める調停を申し立てることができないのです。
なお,一部分割の調停の中で,相手方が残部の分割を求めて調停を申し立てたとします。
この場合は,審理の対象は拡張されることになり,全ての遺産を対象として協議を行うことになります。
以上,遺産の一部分割についてご説明しました。
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