1 はじめに
相続法が改正され,新たに特別寄与料の請求の規定が設けられました。
今回は,特別寄与料の請求権者について簡単にご説明します。
2 「被相続人の親族」に限定した経緯
法は,特別寄与料の請求権者を被相続人の親族としました(民法1050条1項)。
改正の議論の際は,被相続人の長男の奥さんを想定して議論していました。
しかし,条文にそれを明記すると,法が長男の奥さんに介護を促す価値判断を示すことになりかねません。
このようなことを考慮して,被相続人の親族と定めることになりました。
3 事実上の養子も請求権者になる
被相続人の親族には,被相続人と養子縁組をしていない配偶者の連れ子も含まれます。
よってこのようないわゆる事実上の養子も,特別寄与料を請求できます。
4 内縁配偶者は請求権者とならない
もっとも,内縁の配偶者は請求者には入りません。
改正の議論の際は,内縁の配偶者も請求権者に含めるべきであるとする見解もあったようです。
しかし,内縁の配偶者は幅の広い概念であり,事実認定が難しいため,見送られることになりました。
よって,内縁配偶者は準委任契約,事務管理,不当利得の規定に基づき,相続人に請求していくことになります。
もっとも,そのハードルは高いと言わざるを得ないでしょう。
以上,特別寄与料の請求権者についてご説明しました。
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