1 はじめに
年少女子が交通事故で亡くなった場合、ご遺族は加害者側に対し死亡逸失利益を請求することになります。
この場合、基礎収入を「全年齢女性労働者の」平均賃金とするか、「男女合わせた全労働者の」平均賃金とするかが問題となります。
2 従来の考え方の問題点と最近の考え方
従来,年少女子の基礎収入は「全年齢女性労働者の」平均賃金とする考え方が一般的でした。
しかし、この考え方に対しては批判がありました。
すなわち,女性の社会進出を考慮していない(男女の賃金格差は縮まってきている)、年少女子にも多様性な就労可能性の道が開かれているなどと批判です。
実際、裁判でも、見解が分かれていました。
そこで,近年では、上記批判を考慮して、年少女子の基礎収入を「男女合わせた全労働者」を基準に計算することが一般的です。
3 年少女子の範囲
次に、年少女子とは具体的にどの年代を指すのかが問題となります。
多様な就労可能性の視点から考えると、高校生の場合,まだ進路を決めていない学生が圧倒的多数でしょう。一方,大学生であれば,進路を具体的に決めている学生が大半と思われます。
もっとも,以上は一般的な傾向に過ぎません。
高校生の場合,高校3年生になれば進路が具体的に決まっている方もいるでしょう。また、大学生の場合,4回生になっても進路が定まっていない方もいると思われます。
そうすると、年少女子は,個別の事情に応じて判断せざるを得ないといえましょう。
4 最後に
以上、交通事故の死亡事案における年少女子の逸失利益の基礎収入について説明しました。
交通事故でお困りな方はイーグル法律事務所までご相談ください。