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弁護士コラム:【交通事故】死亡事案における葬儀費用はいくら請求できるか?

2020.10.06
1 はじめに

被害者が交通事故により亡くなった場合、ご遺族は加害者に対し被害者の葬儀費用を請求することになります。
この場合、
①そもそも請求できるのか
②いくら請求できるのか
③実費が相場を下回る場合いくら請求できるのか
が問題となります。

前提として、ご遺族は、葬儀費用として、葬祭費、供養料(法要費用)、過去帳代、お布施代、墓碑建立費(墓石及び工事費用)、仏壇費、仏具購入費を請求することができます。反対に、会葬返礼品については含まれないとする裁判例があります。

 

2 そもそも請求できるのか?

まず請求できるかについてです。
少数説でありますが,請求できないという考え方もあります。
その理由としては,人は必ず亡くなるので、葬儀関連費はいずれ支出するものだから損害にあたらない,というものです。

現在は,請求できるという考え方が定説です。
理由としては,交通事故がなければその時に支出することはなかったので,損害にあたるという考え方です。

 

3 いくら請求できるのか?

次に、いくら請求できるかです。
裁判例では一律150万円とされるのが原則です。多くの裁判例はその理由を判決文で明示していませんが、最近の裁判例では「墓石建立費用を含む葬儀関係費用にどの程度の支出をするかは、故人及び遺族らの価値観や経済的等に大きく左右されることを踏まえると、損害の公平な分担の見地から、150万円の範囲で本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である」としたものがあります(京都地裁令和4年6月16日、自保ジャーナル2132号)。

例外的に、特段の事情がある場合は150万円を越える葬儀費が認められる場合もあります。
特段の事情はさまざまな事情が考えられますが、最近の裁判例では、被害者が大学3年生で、その葬儀に約700人もの参列者がいた場合において、実際にかかった費用を認めたものがあります(神戸地判令和3年3月1日)。

 

4 葬儀費が150万円を下回った場合はどうなるか?

最後に、一般的な葬儀費を下回った場合について説明します。
例えば,葬儀費75万円だった場合、葬儀費として請求できるのは75万円か,それとも150万円のどちらかが問題となります。

様々な考え方がありますが、実費とする見解が多数でしょう。
不法行為に基づく損害賠償は、被害者が実際に被った損害を金銭的に補填する制度です。
この制度趣旨からは、実費に限定するのが妥当と考えられています。

 

5 葬儀費用の領収書は保管しておく

このように葬儀関連費が150万円を下回る場合は実費に限定されてしまうことからすれば、領収書を保管しておく必要があります。

ところで,僧侶へのお布施は領収書が貰えないのが一般的です。
そこで、将来の立証の観点からは、お布施の金額をメモ書きして、支払いは現金からではなく、通帳から支払額を出して行うことをおすすめします。

 

6 最後に

以上、交通事故における葬儀費用について説明しました。
交通事故でお困りの方は,イーグル法律事務所までご相談ください。

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