改正相続法では,持戻し免除の意思表示の推定規定(民法第903条第4項)が設けられることになりました。この規定の対象財産は居住用不動産とされているので,店舗兼住居の取扱いについて説明します。
店舗兼住居は居住用不動産といえるのか?
1 具体例
被相続人は,構造上一体となっている3階建ての建物の1階部分で商売し,2階と3階は居住の用に供していたとします(以下「事例」といいます。)。
2 居住不動産の判断基準
事例では,その建物は居住用不動産に該当する場合が多いとされています。
理由としては,事例では,店舗部分と居住用部分が構造上一体となっていること,居住用部分は建物全体の50%を超える場合が多いことからして,被相続人は建物全体について贈与等をする意思であったと解するのが合理的であるためと思われます。
なお,この説明を前提にすれば,店舗部分と居住用部分が構造上分離されている場合や,建物全体に占める居住部分の割合が居住部分<店舗部分の場合であれば,居住用不動産に当たらない場合があるといえます。
3 最後に
以上,持戻し免除の意思表示推定についてご説明しました。
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