TOPICS

  • HOME>
  • TOPICS>
  • 弁護士コラム:【遺産相続】特別寄与料支払・・・

弁護士コラム:【遺産相続】特別寄与料支払請求の相続人側の対応

2020.07.15

相続法改正により,例えば,夫の妻が義理の父親の療養看護等をした場合に,相続財産から分配を受けられる制度(特別寄与料の支払請求)が設けられました。
そのため,今後,相続人が特別寄与料の支払請求を受けるケースも想定されます。
そこで,今回は相続人の立場から特別寄与料の支払請求について説明します。

 

特別寄与料の支払請求~相続人の立場からの検討

弁護士法人イーグル法律事務所

1 具体例

太郎さん(被相続人)は要介護状態にありました。
サクラさんは,息子二郎(既に死亡)の奥さんです。
サクラさんは,夫が亡くなった後も太郎さんと同居し,太郎さんを長年にわたり在宅介護してきました。
太郎さんの相続人には,二郎さんの他に,三郎さん,四郎さんがいました。
ところが,三郎さんと四郎さんは,実家を離れて遠方で暮らしていたため,太郎さんの介護を一切してきませんでした。
数年後,太郎さんは遺産を遺して亡くなりました。
サクラさんの特別寄与料は1000万円だとします。
この場合,サクラさんが三郎さんだけに特別寄与料として1000万円全額を請求したとして,三郎さんは1000万円全額を支払う必要があるでしょうか。

 

2 検討

相続人が複数いる場合,各相続人は特別寄与料の額に当該法定相続人の相続分を乗じた額を負担するものとなっています(民法第1050条5項)。

本件では,三郎さんは法定相続分2分の1に相当する500万円の限度で支払義務を負うことになります。
そのため,三郎さんは1000万円全額を支払う必要がありません。
反対に,サクラさんは,四郎さんに対し,500万円の支払いを請求することになります。

したがって,三郎さんと四郎さんの立場からすれば,将来的にサクラさんから特別寄与料としてそれぞれ500万円の支払請求をされる可能性を視野に入れた上で,遺産分割をすることになります。

なお,先の例で,サクラさんが,三郎さんと四郎さんに対し,太郎さんが亡くなったことを知ってから10年後,特別寄与料の支払請求をしたとします。

この点,改正法では,特別寄与料の請求は,「特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6箇月」以内及び「相続開始の時から一年」以内にせよと定められています(民法第1050条第2項但書)。
そのため,三郎さんらは,この制限を理由に,サクラさんの請求を拒むことができます。

 

3 最後に

以上,特別寄与料の請求をされた相続人の側から説明しました。
特別寄与料でお困りの方はイーグル法律事務所にご相談ください。

EAGLE LAW OFFICE LPC

078-325-1156

お問い
合わせ