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弁護士コラム:【交通事故】高齢者の専業主婦の基礎収入について

2023.05.10
1 はじめに

休業損害や後遺症逸失利益の算定にあたり基礎収入を計算する必要があります。
専業主婦の基礎収入は、原則として、事故発生時の賃金センサスの女性の学歴計・「全年齢」で計算します。

例外として、高齢者(おおむね65歳~70歳)は、賃金センサスの女性の学歴計・「年齢別」平均賃金を基準に計算します(例えば東京地裁令和3年12月24日・自保ジャーナル2113号)。
これは、高齢者の場合は体力が落ちているので、高齢者以外に比べて家事労働に対する金銭評価に差をつけるべきであるという考え方に基づきます。

これに関連して、被害者が89歳女性のケースでは、89歳という年齢に加えて、同居していた次男は事故当時、退職し、再就職先を探しており、掃除や洗濯は自分でしていたことなどから、年額60万円程度としたものがあります(東京地裁令和3年12月24日・自保ジャーナル2113号)。

このように、高齢者の専業主婦の基礎収入は、賃金センサスの全年齢よりも低額になることが多いですが、最近の裁判例では、具体的事情を考慮して、全年齢を基準としたものがありますので、ご紹介します。

 

2 最近の裁判例

73歳の専業主婦の死亡逸失利益の基礎収入について、原告側は、賃金センサスの産業計・企業規模計・学歴計・女性全年齢の平均賃金を基準にするべきの主張しました。
これに対して被告側は、女性年齢別70歳以上の平均賃金を基準とするべきであると主張しました。
裁判所は、「花子は、本件事故当時、原告一郎(75歳)と同居していたところ、原告一郎は、脳梗塞、糖尿病、認知症により、自宅での生活は可能であったものの、日常生活の上で相当の介護を要する状態にあり、その大部分を花子が担っていたほか、原告一郎の食事を始めとする日常家事全般を花子が1人で行っていたものと認められる」と認定し、原告の主張どおり、女性全年齢の平均賃金を基準としました(京都地裁令和4年6月16日、自保ジャーナル2132号)。

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