1 はじめに
例えば、A社がB社に対し売掛債権を有していたところ、B社について破産手続が開始し、破産債権を回収できなかった場合、A社としては次のとおり経理上処理されることになります。
2 破産手続開始の申立て時点
普通法人(資本金の額が1億円以下)の有する金銭債権のうち、破産手続開始の申立てによりその一部につき貸倒れによる損失が見込まれるもののその損失の見込額として、各事業年度において損金経理により貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、当該繰り入れた金額のうち、当該金銭債権の額の100分の50に相当する金額に達するまでの金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができます(法人税法52条1項、法人税法施行令96条1項3号ハ)。
3 破産手続終了時点
また、破産手続が終了した場合、未回収分全額を損金に算入することができます。すなわち、法人税基本通達9-6-2によれば、「法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。」とされています。