相続人のいない者が第三者に対し全ての遺産を遺贈する旨の遺言を残して死亡した場合、「相続人のあることが明らかでないとき」(民法951条)にあたり、相続財産管理人選任の手続を取らなければいけないか問題となります。
この点について、最判平成9年9月9日によれば、相続財産全部について全部包括受遺者がいる場合は「相続人のあることが明らかでないとき」に該当しない、としました。
では、相続財産の一部について包括受遺者がいる場合はどうでしょうか。この場合は、前記最判の射程は及ばないとされています。この問題について、通説は、残部については相続人が不存在であるから清算の対象とするべきであるとしています。