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弁護士コラム:【個人再生】個人事業主と取引債務の対応

2022.09.17

例えば、買掛金は、毎月末日締め、翌月15日払いだったとします。この場合、再生債務者が、3月31日に買掛先に対し受任通知を発送し、4月15日、3月分の買掛金を支払ったとします。この買掛金の支払いは偏頗弁済にあたるので、清算価値に計上されることになってしまいます。他方で、再生債務者が買掛先に対し3月分を支払わないとなれば、買掛先は取引継続に消極的になり、ひいては事業継続が困難となり、履行可能性がなくなります。

そこで、再生債務者としては、現金取引でなく掛け取引を維持するとなれば、次のような手段を講じることが考えられます。まず、3月15日、買掛先に対し2月分を支払います。この時点で買掛債務は一切ないことになります。そして、翌3月16日、買掛先に対し受任通知を発送し、同じタイミングで個人再生申立てを行います。

その上で、申立後から開始決定までに発生した買掛債務については「資金の借入れ、原材料の購入その他再生債務者の事業の継続に欠くことができない行為をする場合」に該当するとして、裁判所から共益債権とする旨の許可を得て、支払うことになります(民事再生法120条1項)。

なお、開始決定後の買掛金は「再生手続開始後の再生債務者の業務、生活並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権」に該当するので、裁判所の許可なく支払うことができます(民事再生法119条2項)。

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