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弁護士コラム:【刑事】侮辱罪の法定刑の引上げ

2022.08.02
1 はじめに

本年6月13日、侮辱罪の法定刑の引上げに関する法案が国会で可決・成立しました。

 

2 改正前

まず、刑法231条では、侮辱罪の法定刑を「拘留または科料」と定めていました。拘留とは「1日以上30日未満とし、刑事施設に拘置する。」という刑になります(刑法16条)。また、科料は「1000円以上1万円未満とする。」とされています(刑法17条)。

また、侮辱罪の量刑については、平成28年から令和2年までの間、拘留に処させられた者は一人もいません。
他方で、同期間のうち、科料に処せられた者は合計120人です。年平均24人になります。そして、科料に処せられた者のうち約96%以上の者が9000円以上の科料に処させられています。

さらに、侮辱罪は「拘留または科料」の法定刑であるところ、刑法上、拘留又は科料のみに処すべき罪の教唆者及び従犯は、特別の規定がなければ、罰しない。」(刑法64条)とされているので、幇助犯は成立しません。

また、侮辱罪の法定刑は「拘留または科料」なので、「被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限」って、通常逮捕されるにとどまっていました(刑事訴訟法199条1項但書)。

そして、侮辱罪の法定刑は「拘留または科料」なので、公訴時効の期間は1年となっていました(刑事訴訟法250条2項7号)。

 

3 改正後

「拘留または科料」に、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金が追加されることになりました。とりわけ懲役刑が追加されたことにより、改正前とで次のような違いが生じます。

まず、侮辱罪の幇助犯が成立し得ることになります。また、住所不定の場合、侮辱罪の嫌疑で逮捕される可能性が出てきました。さらに、公訴時効は3年となりました(刑事訴訟法250条2項6号)。

 

4 問題点

前述したとおり侮辱罪の法定刑に懲役刑が追加されることにより逮捕される可能性が出てきたので、侮辱罪の処罰範囲が明確でないことと相まって、表現行為に対する萎縮効果が生じるではないかという問題意識があります。

また、法改正の背景には、民事裁判で認められる慰謝料額が低額であるため抑止効果にならないという問題がありましたが、そうであれば慰謝料額を適正化すればよいのであって、侮辱罪の法定刑を引き上げる必要はないのではないかという問題意識もあるところです。なお、名誉毀損の慰謝料は30~60万円がボリュームゾーンで、侮辱(名誉感情侵害)であれば高くて10万円と言われています。

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