1 はじめに
日本学生支援機構で奨学金を借りた方が個人再生申立てを行ったケースについてご紹介します。
2 日本学生支援機構は再生計画案に不同意意見を出すのか?
甲さんの債務は6社合計1000万円ほどで,うち日本学生支援機構の奨学金が500万円を超えていました。
ところで,小規模個人再生の場合、総債権額の過半数をもつ債権者が再生計画案に対して不同意意見を述べれば、再生計画案は認可されません。そのため、日本学生支援機構が再生計画案に不同意意見を述べれば,再生計画案は認可されません。そこで,日本学生支援機構が不同意意見を出す可能性があるのかが問題となります。
結論としては,日本学生支援機構(代位弁済後は公益財団法人日本国際教育支援協会)は,再生計画案に対し不同意意見を出すことはありませんでした。清算価値が最低弁済額を僅かに上回る事案であり,ほぼ最低弁済額どおりの返済ですから,今後,日本学生支援機構は,他の事案でも,再生計画案に対し不同意意見を出す可能性は低いと考えられます。
3 楽天カードの場合は要注意
ちなみに,本ケースにおいて,総債権額の過半数をもつ債権者が楽天カード(楽天銀行)であったとすれば,同社は再生計画案に対し不同意意見を述べていた可能性がありますので,注意が必要です。
これについては,別記事弁護士コラム:【債務整理】楽天カードと個人再生で詳しく説明しておりますので,そちらをご参照下さい。