1 はじめに
会社員が交通事故に遭ってしまい後遺障害12級が残ってしまったとします。この会社員は症状固定時の年齢が55歳、勤務先の定年が60歳で定年後に再雇用があるものの待遇は下がることが見込まれる、就労可能年数が10年間とした場合、基礎収入を症状固定時の年収で計算してよいか問題になります。これは、55~60歳(定年)までは症状固定時の年収を基礎収入とするとはよいとして、60歳~(定年後)は再雇用を前提とした待遇で計算するべきではないかという問題になります。
2 最近の裁判例
60歳までは症状固定時の年収、定年後の再雇用期間は賃金センサスを基準に計算するべきとした裁判例があります。定年間近の会社員の後遺症逸失利益を請求する場合は注意が必要といえます。