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弁護士コラム:【遺産相続】具体的相続分の期間制限について

2021.09.13
1 はじめに

民法改正により、具体的相続分に基づく遺産分割に期間制限が設けられることになります。改正法は令和3年4月28日に公布されており、公布の日から2年以内に施行されます。以下、期間制限の具体的内容についてご説明します。

2 現行法

遺産分割をいつまでにしなければいけない、といった期間制限はありません。そのため相続開始から10年後に遺産分割することも可能です。

3 現行法の問題点

仮に10年後、遺産分割をするとします。法定相続分や指定相続分に基づくのであれば、相続分の計算が機械的にできるので問題ありません。しかし、特別受益や寄与分に争いがある場合、それらの証拠は紛失などにより無い可能性があります(時効の趣旨の1つである「立証困難の回避」と対応します)。このようなケースでは遺産分割が紛糾し、解決までに時間がかかる上、最終的には法定相続分で決さざるを得ないこともあります。

また、相続開始から長期間経過した場合、共同相続人は、具体的相続分ではなく、法定相続分又は指定相続分に基づき遺産分割がなされることに一定の期待を有しているとも言えます(時効の趣旨の1つである「継続した事実状態の尊重」と対応します)。

4 改正法の内容

そこで、改正法では、相続開始から10年経過した遺産分割は、①その10年を経過する前に相続人が家庭裁判所に遺産分割の調停又は審判の請求をしたとき、②相続開始時から10年経過する前の6か月以内の間に「やむを得ない事由」が共同相続人にあり、その事由が消滅してから6月以内に相続人が家庭裁判所に遺産分割の調停又は審判の請求をしたとき除き、法定相続分又は指定相続分によることになりました。

この「やむを得ない事由」には、病気療養中であったり、海外勤務中であったとしても、それだけでは該当しないとされています。

5 改正法の影響

相続人は、具体的相続分での遺産分割を希望する場合、相続開始から10年以内に遺産分割をしなければいけません。これにより、具体的相続分での遺産分割を希望する相続人に対しては、早期の遺産分割(ひいては相続登記未了の解消)を促進することになるでしょう。

また、期間制限が設けられることにより、期間経過後の遺産分割は、具体的相続分の算定が不要となり,法定相続分又は指定相続分によるので、円滑に進むことになります。

以上により、所有者不明土地(土地の所有者が亡くなったのに相続登記がなされず放置された土地)の発生が抑止される(予防)ことになります。

6 遺産共有と通常共有が併存している場合

共有物について遺産共有持分と通常共有持分が併存している場合,現行法の下では,遺産分割手続(家庭裁判所)で遺産共有の解消を,共有物分割手続(地方裁判所)で通常共有の解消を,行うことになります。しかし,共有物分割手続の中で遺産共有をも解消することが出来るのであれば,共有関係の解消が円滑となり,所有者不明土地の発生を抑止することができます。そこで,相続開始から10年経過したときには,共有物分割手続(訴訟)によって遺産共有持分と通常共有持分を同時に分割できることになりました(改正民法258条の2第2項本文)。

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