1 経済的全損
例えば修理費用が50万円、車の価値が10万円の場合、損害は10万円になります。被害者は修理をしようとすれば40万円を自ら負担しなければなりません。被害者からすれば被害に遭ったのになぜ自分の懐を痛めないといけないのかと不満が出るポイントです。示談が難航する要因の一つでもあります。
経済的全損について詳しくは、弁護士コラム:【交通事故】経済的全損の注意点をご確認ください。
2 対物超過修理特約
先の例で、被害者が実際に50万円を負担して修理したとします。もし加害者側に対物超過修理特約がついていれば、修理費用と評価額の差額である40万円を、加害者の保険会社が負担することになります。
この特約は経済的全損の問題点をカバーするよい保険ですが、注意点が3つあります。1つ目は実際に修理しなければなりません。修理せずして40万円を請求することはできません。2つ目は上限があることです。特約の多くは50万円に設定しています。よって修理費用が70万円、評価額が10万円の場合、特約でカバーできるのは50万円の部分までで、残り10万円は被害者の負担となります。3つ目は被害者に過失がある場合は減額されることです。例えば修理費用50万円、評価額10万円、被害者側の過失20%の場合、40万円の80%に相当する32万円しか認められません。