1 はじめに
被相続人は青果店の二代目であり、長男が三代目になる予定です。長女は専業主婦で、大企業に勤める夫とその間に生まれた息子(現在中学1年生)と円満に暮らしていました。長女は仕事をしていなかったこともあり、被相続人から頼まれて平日は朝から夕方まで無償で約10年にわたり青果店を手伝っていました。この場合、長女は寄与分が認められるといえるでしょう。では少し事実を変えた場合はどうか検討していきます。
2 無償性
先の例とは異なり長女は被相続人から相応の給与を受け取っていたとすれば、無償性の要件を満たさないので、寄与分は認められません。もっとも、給与が相場に比して余りにも少額の場合は寄与分が認められる場合があります。
3 専従性
先の例と異なり長女は平日はパートタイマーであり、休みの土日に無償で働いていたとします。この場合は専従性の要件を満たさないので、寄与分は認められません。
4 継続性
先の例と異なり長女が無償で働いていたのは1年ほどだったとします。一般的には3年以上働いた場合は継続性の要件を満たすと言われているので、この場合は寄与分は認められません。