1 はじめに
相続人が被相続人の農業や自営業に従事していた場合、その労務の提供について寄与分が認められることがあります。
そのためには、以下の5つの要件を満たす必要があります。
2 特別の寄与であること
通常の扶養義務の範囲を超える労務の提供をしていることです。
配偶者は協力扶助義務(民法752条)があるので、認められないことが多いです。
3 無償性
寄与分を主張する相続人は、相応の報酬をもらったり、同居して生活費を負担してもらっていることが通常なので、完全に無報酬のケースはほとんどありません。
寄与分を主張する相続人の報酬<雇用している第三者の報酬の場合、差額が寄与分をとして認められる場合があります。
4 継続性
3年以上が目安とされています。
5 専従性
専業、専念までは必要ありません。
もっとも、例えば、寄与分を主張する相続人が平日はパートタイマーであり、休みの土日に無償で家業に従事していた場合、専従とは認められません。
6 被相続人の財産の維持又は増加との因果関係
被相続人の家業が法人成りしていた場合、寄与分を主張する相続人の貢献は法人に対するものであり、被相続人に対するものではないので、寄与分は認められません。
7 評価方法
寄与相続人が通常得られたであろう給付額×(1-生活費控除率)×寄与期間になります。
寄与相続人が通常得られたであろう給付額は、家業と同業種・同規模、同年齢の賃金センサスを参考とします。
生活費控除率は、寄与相続人が被相続人から受けていた報酬や生活費を控除することです。
8 最後に
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