1 はじめに
財産管理型の寄与分として典型例とされるのはアパート管理です。
例えば相続人の一人が被相続人のアパート数棟を管理会社に頼まずに一人で長年にわたり無償で管理していたとします。この場合は具体的相続分の算定の際に寄与分として考慮されることになります。
以下では財産管理型の寄与分の5要件について説明していきます。
2 特別の寄与であること
特別の寄与を主張する相続人が被相続人の自宅の草刈りや空気の入れ換えをしていたとしても、「特別の」寄与とは認められません。
3 無償性
寄与分を主張する相続人が被相続人から管理費用として金銭を得ていたり、あるいは被相続人の自宅に同居していた場合は、無償で管理していたとはいえません。
4 被相続人の財産の維持又は増加との因果関係
寄与分を主張する相続人が賃貸不動産の清掃や賃借人等への対応をしていたとしても、被相続人の財産を維持又は増加させたとはいえません。
5 財産管理の必要性
管理会社がついている場合、寄与分を主張する相続人による財産管理の必要性は認められません。
6 継続性
例えば、寄与分を主張する相続人が、被相続人が数ヶ月入院している期間中、管理していた場、継続性の要件が否定されることになります。
7 寄与分額の算定方法
相当と思われる財産管理費用×裁量割合で算定されることになります。
相当と思われる財産管理費用は、管理会社に委託する場合は賃料の5~10%が通常のため、これを参考に算出することになります。
裁量割合は、一般の方が管理することから専門業者である不動産管理会社と同列に考えることは出来ないことから考慮するものになります。