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弁護士コラム:【遺産相続】使途不明金請求

2021.05.03
1 はじめに

例えば次男が被相続人の通帳を管理していた長男に対して通帳履歴の開示を求めたが、長男がそれに応じてくれなかったとします。

そこで、次男が被相続人が亡くなるまでの預金通帳の履歴10年分を取り寄せたところ、使途が分からない引き出しが発覚することがあります。ATMで1日の限度額50万円を毎日のように引き出されていることもあれば、窓口で多額の現金を引き出されていることがあります。

この場合、被相続人と生活を共にしていなかった次男が、生活を共にしていた長男に対して、被相続人のためでなく自身のために費消したとして返還請求することがあります。これがいわゆる使途不明金請求になります。

 

2 引き出した者の特定

引き出しされた事実は明らかだとして、それが誰によって行われたのが明らかにされなければなりません。通常は被相続人と同居していた相続人の可能性が高いといえますが、同居していたからといって、その者が必ず引き出したとはなりません。

引き出しが窓口で行われたのであれば、払い戻しの際に記載した申請書を取り寄せることになります。そして筆跡が被相続人のものかを確認するのです。被相続人とは違う筆跡であれば同居していた相続人の可能性の筆跡の可能性が高くなります。

他方で引き出しがATMの場合は特定が大変です。まずATMの防犯カメラで引き出した者を確認できればよいですが、録画期間の問題により既に消去されている可能性があります。そこで通帳やカードを誰が管理していたのか、あるいは誰が容易にアクセスできたのかを把握することになります。

また、当該ATMがどこにあるのかも調査する必要があります。その場所が被相続人の生活圏外であれば、被相続人とは異なる者の引き出しであることがわかりますし、同居している相続人の職場近くであることが判明すれば、その相続人が引き出した可能性が高まります。

さらに、被相続人が引き出し行為があった時にどのような健康状態だったのかも重要です。被相続人が要介護認定を受けており一人で外出困難だった、あるいは特別養護老人ホームに入所中であれば、ATMで引き出すことは不可能になります。そうすると同居していた相続人が引き出した可能性が高まることになります。

 

3 使途の合理的な説明ができるか

引き出した者が同居していた相続人であると特定できた場合、今度は、その相続人は引き出した現金の使途を一つ一つ説明することになります。その説明が合理的であれば被相続人のために使ったと言えそうですが、説明が合理的でないとなれば、自身のために費消したとされることになります。

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