1 名古屋高裁令和2年3月18日決定
最高裁判例によれば、面会交流の日時又は頻度、面会交流時間の長さ、子の引渡し方法等が具体的に定められている場合、非監護者は面会交流調停又は審判に基づき間接強制の申立てをすることができます。では子の成長により調停又は審判時とで事情変更があった場合、なお間接強制が認められるかが問題となります。この問題について名古屋高裁令和2年3月18日決定(本決定)が参考になります。
本決定の事案において、未成年者の審判時における年齢は11歳10か月(小学6年生)でした。しかし、本決定時は満15歳(高校進学直前の中学3年生)でした。そして、満15歳になった未成年者は、非監護者との面会を強く拒んでいました。本決定は、このような事実関係を考慮し、原審の間接強制申立て却下決定を維持しました。なお、本決定では、家裁調査官による未成年に対する意向調査はなされず、監護者側が提出した書面等に基づき判断されました。
2 東京高裁令和元年11月21日決定
母(義務者)は、息子は面会交流前後に精神状態が不安定になると主張し、面会交流を拒んでいました。これに対して裁判所は「医師等の専門家による面接調査結果等これを裏付ける資料はない。」、面会交流の不実施が「未成年者らの強固な拒絶意思に基づくものと認めることはできない」とし、原決定と同様、不履行1回につき5万円の間接強制金の支払いを命ずるのが相当としました。