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弁護士コラム:【破産】遺産分割未了の不動産について

2021.03.21
1 はじめに

遺産分割協議未了のまま長年にわたり放置し、被相続人名義の不動産があったとします。その相続人の1人が自己破産を申し立てる場合、法定相続分の割合に応じた共有持分権も破産財団に含まれます。破産財団の中に不動産がある場合、原則として破産管財事件となります。そのため予納金20万5000円の確保が必要となります。

以下破産者の立場から留意点を説明します。

 

2 あせって遺産分割をしてはならない

1で述べたとおり遺産分割未了の不動産がある場合は原則として管財事件として処理されることになります。管財事件となれば予納金の負担しなければならない、同時廃止事件に比べて免責決定がでるまで長期化するといった不都合が生じます。

そのため、特に唯一の財産が遺産共有持分の破産者の場合、同時廃止事件として処理してもらうため、申立前に、自身の持分を他の相続人に譲る旨の遺産分割を行う可能性もあります。

しかし、このような申立て直前の事実上の相続放棄は、これが発覚すれば否認権行使の対象となるだけでなく、免責不許可事由となる可能性もありますので、厳に慎むべきでしょう。

 

3 管財人が遺産分割に参加する

このように遺産分割未了の不動産がある場合は管財人が就くことは避けられません。そうすると管財人が他の相続人との間で遺産分割協議を行うことになります。

管財人は破産財団(本件では遺産共有持分権)を換価することが役目なので、相続人の誰かが不動産を単独で相続し、代償金を受けとるという分割方法を志向すると思われます。申立人からすれば、他の相続人に自身が破産手続中であることを知られることになりますし、他の相続人に代償金の支払いという負担を負わせることになるので、心情的には辛いと思われます。

 

4 遺産共有持分の放棄

3のとおり管財人は他の相続人との間で代償分割を目指しますが、他の相続人が代償金を支払う余裕がない、あるいは連絡がつかないなどの理由により分割協議が難航する場合もあります。

そのような場合、管財人は破産者に対し共有持分を放棄するから代わりに持分相当額を財団に組み入れて欲しいと言ってくることもあります。特に破産者が遺産分割未了の不動産に居住している場合、持分相当額を管財人に差し出せば、煩わしい遺産分割を経ずに引き続き居住することができます(他の相続人が文句を言ってこない前提です)。破産者の立場からすれば、このような展開も想定して、例えば破産者の妻や親戚に持分相当額を援助してもらう準備をしておくほうがよいと思われます。

 

5 最後に

以上、遺産分割未了の不動産と自己破産申立てについて説明しました。

併せて、自己破産のメリット・デメリットについては、別記事弁護士コラム:【自己破産】自己破産のメリット・デメリットをご確認ください。

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