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弁護士コラム:【遺産相続】相続放棄と財産管理

2020.12.23
1 相続放棄の具体例

例えば子がいない兄弟姉妹の一人が事業をしていて、地方銀行や日本政策金融公庫から5000万円以上の借入れがある一方、めぼしい財産がないとします。そして、この兄弟姉妹が自己破産せずに急死した後、地方銀行などから相続人に対して全額の支払い請求があったとします。この場合、相続人は兄弟姉妹の死亡を知ってから3ヶ月以内に相続放棄すれば支払い義務を免れます。

2 相続放棄後の財産管理

では先の例で兄弟姉妹は築60年ほどの老朽化した家屋を所有していたとします。この家屋は老朽化しており、台風が来たらトタン屋根が飛ぶことは明らかでした。この場合、すでに相続放棄をした相続人が近所の住人から屋根を修繕するよう求められたとき、相続人は相続放棄したことを理由に修繕を拒むことができるでしょうか。この点、民法940条によれば、相続放棄した相続人は相続財産を管理する者が現れるまで自己の財産と同一の注意義務を負うと規定されています。よって、相続人はこの管理義務に基づき相続放棄後も屋根の修繕義務を負うので、住人の要求を拒むことはできないことになります。

なお、相続放棄をした者に相続財産について責任を負わせるのは相当ではないとして、民法940条の適用を制限する考え方もあります。後述の民法改正はこの素朴な価値判断が背景にあります。

3 相続財産管理人の選任

では、相続放棄した相続人は、一生、民法940条の義務を負うことになるのでしょうか。この点、相続人は、相続放棄により相続人不存在となった場合、利害関係人として家庭裁判所に申し立てることにより相続財産管理人の選任してもらえば、上記義務を免れることができます。もっとも、各都道府県の裁判所の運用によりますが、相続財産管理人選任の申立てをするにあたっては予納金を納める必要があり、その金額は50~100万円はかかると考えておくべきでしょう。相続人が複数いる場合、頭数で割るなどして予納金を確保することも考えられます。

4 民法改正

令和3年4月28日公布の改正民法では、相続放棄をした者による財産管理継続義務について明確化されました。すなわち、改正法では、相続放棄をした者は、相続放棄時に相続財産を現に占有していた場合、相続人等に対し当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産と同一の注意義務があるとされたのです。

先の例によれば、相続放棄をした相続人が老朽化した家屋で暮らしていた場合、他の相続人等に引き渡すまで、自己の財産と同じ注意義務を負担することになります。反対に、相続放棄をした相続人は、当該家屋で暮らしていなかった場合にまで、管理義務を負担しません。

改正法の施行は、令和3年4月28日から2年以内に施行されることになります。

5 最後に

以上、相続放棄後の財産管理について説明しました。イーグル法律事務所では遺産相続のご相談は無料で承っております。お困りの方はイーグル法律事務所までご相談ください。

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