1 はじめに
例えば,赤信号で停車中に追突され,後遺障害として脳脊髄液漏出症が発症したとして,交通事故による損害賠償請求をする場合の留意点についてご説明します。
2 起立性頭痛
脳脊髄液漏出症の典型的な症状は起立性頭痛とされています。
しかも起立性頭痛は事故当初から認められることが必要となります。
裁判例においては、診断書やカルテの記載から、事故当初より一貫して起立性頭痛を訴えていなかったことを、脳脊髄液漏出症を否定する方向の事情として考慮することが多いと思われます。
これに対し被害者側からは「脳脊髄液漏出症に明るくない医師が診断したためカルテ等に起立性頭痛が記載されていないだけである」といった反論も考えられます。もっとも裁判例でそのような反論を受け入れた例はないと思われます。
そのため,後遺障害として脳脊髄液漏出症を主張するか否かは、まずは診断書やカルテを取り寄せて,事故当初から起立性頭痛の記載があるか確認するところから始める必要があります。
3 医師の証人尋問の難しさ
そもそも脳脊髄液漏出症の専門医にたどり着くことが難しいですが、さらにその専門医に実際に法廷で証人として証言していただくのは,医師は多忙を極めていることからして,ハードルが極めて高いと思われます。
もっとも,専門医によっては書面尋問であれば協力しますとおっしゃる医師が多いように思われます。
過去に経験したケースでは、所在尋問(病院内での尋問)に応じていただいたことがありました。
これは,医師が協力的だったことや、医師と被害者との関係が良好だったことから実現したものと思われます。このように,医師に証人尋問に協力していただくことを見据えれば、被害者は医師と良好な関係を築くことが肝要です。
4 最後に
以上、脳脊髄液漏出症の留意点について説明しました。
脳脊髄液漏出症の訴訟進行について説明しておりますので,詳しくは別記事「脳脊髄液漏出症における訴訟進行」をご確認ください。
交通事故でお困りの方はイーグル法律事務所までご相談ください。