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弁護士コラム:【交通事故】経済的全損の注意点

2020.10.18
1 経済的全損について

物損事故において,修理費用が車両の時価額を上回る場合があります。
例えば、修理費用が100万円かかるのに対し、車両時価価額が30万円の場合です。
これは、いわゆる経済的全損というケースです。あくまで車両の時価額の限度で賠償が認められます。上記のケースでは車両の損害は30万円になります。

もっとも、加害者側に対物超過特約がついている場合は取扱いが異なります。詳しくは、弁護士コラム:【交通事故】対物超過修理特約をご確認ください。

さて、上記のケースのように修理費用が時価額を大幅に上回る場合は分かり易いですが、修理費用が時価額をわずかに上回る場合は注意が必要になります。

 

2 裁判例のご紹介

東京地判平成14年9月9日は、経済的全損にあたるかの判断において修理費用と比較すべき金額は、車両の時価額だけでなく買替諸費用を含めた金額とするべきと判断しました。

例えば、修理費用が60万円、時価額が57万円、買替諸費用が5万円の場合を考えます。
この場合,修理費用60万円<時価額+買替諸費用=62万円になります。
よって,裁判例を前提にすれば経済的全損に当たらないため、被害者は加害者に対し修理費用60万円を請求することになります。

また、修理費用が20万円、車両時価は19万円(税込)、買替諸費用が4万円の場合を考えます。修理費用20万円<車両時価+買替諸費用=23万円となります。この場合、車両の損害は、20万円となります。

 

3 買替諸費用について

以上のように買替諸費用の金額によっては経済的全損とはならないケースもあります。
そこで買替諸費用とは何を意味するのかが問題となります。

この点,抽象的には,買替諸費用とは,車両を購入し、使用できるまでに必要な費用のことをいいます。

買換諸費用に該当するのは、①環境性能割(なお自動車取得税は廃止)、②自動車重量税(未経過期間分)、③車体本体の消費税、④登録費用、⑤車庫証明法定費用、⑥廃車費用、⑦リサイクル費用になります。

なお、自動車重量税については、事故車両が適法に解体されたことにより、車検残存期間に対応する自動車重量税が還付された場合、損害として認められません。

反対に買換諸費用に該当しないのは、⑧自動車税、⑨自賠責保険料になります。
事故車両を廃車すればこれらの税金は未経過分が還付されることになるところ、賠償範囲に含まれるとなれば、被害者は二重取りになってしまうからです。

また、⑩希望ナンバー申込手続代行料も、認められません。

 

4 最後に

以上、経済的全損の判断の際の留意点について説明しました。
イーグル法律事務所では交通事故のご相談は無料で承っております。
交通事故でお困りの方はイーグル法律事務所までご相談ください。

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