1 はじめに
収入を得ている方が事故に遭ったが,本人の努力や周りの協力もあり,幸いにも減収しないことがあります。
この場合,保険会社は、差額説を前提に,「後遺症逸失利益は認められない」と主張することがあります。
以下では,訴訟外での交渉では,後遺症逸失利益が認められませんでしたが、裁判において請求どおりの金額が認められた事案をご紹介します。
2 交渉段階
Nさんは建設業を営んでいたところ、赤信号で停車中に居眠り運転の車両に追突され、むちうちと診断されました。症状固定後,自賠責調査機構は後遺障害等級を14級としました。
Nさんは,後遺症逸失利益が認められると主張しました。
ところが,保険会社は示談交渉の際,事故前年の確定申告書と事故年のそれを比較すると,減収が認められない等の理由から,後遺症逸失利益を否定してきました。
そこで,Nさんは,やむを得ず,訴訟提起することになりました。
3 ご本人の特別の努力を立証
保険会社は、訴訟でも、差額説を前提に、Nさんは事故後も減収が認めれないことを理由に後遺症逸失利益を認めませんでした。
これに対して、弁護士は、Nさんは事故によって現実に労働能力が低下しており、かつ被害者に減収が生じていない理由がNさんの特別の努力によるものであることを主張立証しました。
具体的には、Nさんの仕事の様子を写真撮影して、後遺症により困難になった作業を,写真撮影報告書にまとめました。
また、Nさんは、仕事終了後にマッサージに行ったりするなど身体のケアをしっかりしていましたので、そのことも陳述書にまとめました。
裁判所は、和解の席において、上記の写真撮影報告書や陳述書を根拠に,Nさんの収入が減らなかったのはNさんの特別の努力によるものであると認定し、こちらの請求を全額認めました。
4 最後に
以上、自営業者の事故後の収入が減少していない場合における後遺症逸失利益について、ご説明しました。
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