1 具体例
被害者の過失割合は30%,裁判所の認定によれば損害額は5000万円,人身傷害保険金として被害者に3000万円支払われた場合において,最終的に被害者が回収できる金額が幾らかになるのか説明します。
2 人身傷害保険金が先に被害者に支払われた場合
最高裁判例(訴訟基準差額説)によれば,被害者は加害者から残り2000万円を請求することができます。
よって被害者は損害額5000万円全額を回収することが出来ます。
他方で,人身傷害保険の会社は,加害者側の保険会社に対し,1500万円を代位請求することができます。
3 人身傷害保険金を受領する前に加害者から賠償金を受領した場合
かつて,被害者が最終的に受領することができる金額は「2」よりも少ないと判断する裁判例もありました。
しかし,人身傷害保険金請求の順番が異なるというだけで,被害者が受領することができる金額に差がでるのは不合理です。
そこで,現在は,各保険会社は「2」と同様の結論になるように約款を改訂しています。
よって被害者が最終的に受領する金額は「2」と「3」とで変わらないことになりました。
4 最後に
以上,人身傷害保険金請求と損害賠償請求の関係について簡単に説明しました。
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