1 はじめに
学生が大学や専門学校に入学する際、日本学生支援機構の奨学金を利用する場合があります。その際、機構から連帯保証人をつけることが求められ、父母や親戚がなることがあります。
その後、学生が大学等を卒業すると、返済が始まります。
しかし、病気など諸事情により返済ができなくなることがあります。その場合、当該学生はもとより、連帯保証人にも一括払いの請求書が届きます。
この場合、学生や父母はどのように対処すればよいかについて、具体的な相談内容をもとに説明します。
2 相談内容
Aは、2020年春、4年制の私立大学を卒業しました。
その後、新卒で某会社に正社員として就職しました。
Aは、もともと日本学生支援機構から奨学金を借りていました。連帯保証人には父であるBがばっていました。
Aは、給料から毎月奨学金を支払っていました。
ところが、Aは、2022年仕事のストレスでうつ病を患いました。休職を経て、自主退職することになりました。奨学金の支払いが出来なくなりました。
ところで、日本学生支援機構に返還猶予や返還免除の申請をすることができます。しかし、Aはそれらの手続を執ることができなかったので返還未納状態が続きました。
以上のような経緯を経て、日本学生支援機構は、Aに対し、返還期限未到来分も繰り上げて一括で請求しました。しかし、Aはこれを放置していました。
ちなみに、この一括請求は、日本学生支援機構法施行令5条5項の「支払能力があるにもかかわらず割賦金の返還を著しく怠ったと認められるときは、・・・返還未済額の全額を返還しなければならない。」との規定を根拠にするものです。
Aに一括請求のあった数か月後、Bの自宅に日本学生支援機構から数百万円の一括請求書が届きました。Bは現在パート生活の身で貯金がほとんどありませんでしたので、途方に暮れて、弁護士のもとにご相談に来られました。
3 解決内容
Bは、弁護士に対し、ここ最近、定期的に、日本学生支援機構から一括払いの請求書が届いており、それが精神的に辛いことを説明しました。また、現在の収入、資産の状況、他の負債について説明をしました。
その結果、Bは、継続的に返済することが困難なため、自己破産の手続を執ることになりました。
その後、弁護士は、Bの代理人として日本学生支援機構に受任通知を発送しました。そうしたところ、すぐに督促が止まりました。
弁護士の指示の下、Bは、住民票や所得証明書など必要書類を速やかに準備しました。
弁護士は、破産申立書を作成し、申立てを済ませ、無事、免責決定が出ました。
4 コメント
突然、日本学生支援機構から督促状が突然届くことがあります。
もっとも、事情によっては自己破産をすることにより返済しなくてもよいことになります。
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