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弁護士コラム:【遺産相続】遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求へ

2020.07.20

遺留分減殺請求→遺留分侵害額請求

弁護士法人イーグル法律事務所1 具体例

太郎さんは,全ての不動産を長男二郎さん相続させる旨の遺言を残して,亡くなりました。
この場合,もう一人の相続人である長女サクラさんは,4分の1の遺留分が認められます。

 

2 呼び方の変更について

サクラさんは,太郎さんに遺留分を請求するとします。
この請求は,改正前,「遺留分減殺請求」と呼んでいました。
ところが,改正後,「遺留分侵害額請求」に変更されました。

 

3 遺留分減殺請求(改正前)の内容

遺留分権利者が,遺留分に関する権利を行使すると,遺留分を侵害する部分が当然に無効となり,無効とされた部分に相当する権利が遺留分権利者に移転します。
例えば,太郎さんが遺留分に関する権利が行使すれば,遺言により二郎さんに移転した不動産について,その4分の1の権利移転が無効となります。これにより,4分の1の権利がサクラさんに移転することになります。

遺言による権利移転を一部無効にするという意味で「減殺」という文言を使うことにしたので「遺留分減殺請求」とされたのです。

 

4 遺留分減殺請求の問題点

例えば,太郎さんはもともと事業家でしたが,遺産である不動産のほとんどが事業用の不動産であったとします。
そして,太郎さんは,長男二郎さんに事業を承継して欲しいとの思いから,上述の遺言を作成したとします。

この場合,サクラさんが長男二郎さんに対し遺留分減殺請求をすれば,事業用の不動産について,二郎さんが4分の3,サクラさんが4分の1の割合で共有することになります。
そのため,二郎さんが事業経営が悪くなってきたので事業用不動産を売却してその代金を運転資金にしようとしても,サクラさんの共有持分4分の1がネックとなり,円滑に不動産を売却することが出来ない可能性があります。

 

5 遺留分に関する権利の金銭債権化

そもそも,遺留分制度は,サクラさんのような遺留分権利者の生活保障や遺産の形成に貢献した遺留分権利者の潜在的持分の清算を目的とする制度です。
この目的を達成するためには,遺留分権利者にその侵害額に相当する金銭を返還させることで十分といえます。

そこで,改正法では,遺留分を侵害する遺言による権利移転の効力は維持したうえで(無効とはせずに),遺留分権利者に遺留分侵害額に相当する金銭債権が発生することにしたのです(民法第1046条第1項)。

 

6 遺留分侵害額請求と名称変更した理由

上述したとおり,改正前において,遺留分に関する権利が遺留分減殺請求と呼ばれたのは,その権利行使により遺言による権利移転が一部無効になるからでした。
ところが,改正後は,遺留分に関する権利を行使しても,遺言による権利移転は無効とはなりません。つまり権利移転はなお維持されます。
そのため,遺留分減殺請求の「減殺」という文言は実態に合わなくなりました。
そこで,遺留分減殺請求は,「遺留分侵害額請求」と改められることになりました。

 

7 最後に

以上,遺留分侵害額請求についてご説明しました。
遺留分に関連してお困りの方はイーグル法律事務所にご相談ください。

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