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弁護士コラム:【一般民事】給料の差押え

2023.03.13
1 債権差押命令

民事執行法145条1項によれば、「執行裁判所は、差押命令において、債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。」とされています。
そして、同条5項により、「差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。」とされています。

例えば、従業員の給料を差し押さえられた場合、会社に債権差押命令の書面が送達されます。そして、送達完了時から、会社は従業員への給料の支払いが禁止されます。

 

2 差押えの範囲

民事執行法第152条1項によれば、「その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。」とされています。

したがって、債権者によって差し押さえられるのは、月額手取り給料の4分の1となります。ただし、33万円を超える部分は全額差し押さえられます。

 

3 陳述書

民事執行法147条1項によれば、「差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官は、差押命令を送達するに際し、第三債務者に対し、差押命令の送達の日から二週間以内に差押えに係る債権の存否その他の最高裁判所規則で定める事項について陳述すべき旨を催告しなければならない。」とされています。
このように、第三債務者(例えば勤務先の会社)には、債権差押命令の書面とともに、陳述書が送られることになります。
そして、第三債務者が、陳述書に必要事項を記入して、裁判所と差押債権者に対し、送達時から2週間以内に返送しなければなりません。

なお、同条2項によれば、「第三債務者は、前項の規定による催告に対して、故意又は過失により、陳述をしなかつたとき、又は不実の陳述をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。」とされています。
このように、第三債務者が陳述書の返送を期限内に行わない場合、損害賠償義務を負う可能性があるので、ご注意ください。

 

4 取立権

民事執行法155条によれば、「金銭債権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、その債権を取り立てることができる。ただし、差押債権者の債権及び執行費用の額を超えて支払を受けることができない。」とされています。

このように、債務者が債権差押命令を受け取ってから一定期間が経過すると、債権者は第三債務者に対し差し押さえた債権の支払請求ができます。この支払請求権のことを「取立権」といいます。

なお、第三債務者が振り込みで支払う場合、振込手数料は債権者の負担なので、振込手数料を控除した額を振り込むことになります。

 

5 継続的給付

民事執行法151条によれば、「給料その他継続的給付に係る債権に対する差押えの効力は、差押債権者の債権及び執行費用の額を限度として、差押えの後に受けるべき給付に及ぶ。」とされています。

このように、給与の差し押さえは、差し押さえられ給与の額が、債権者の請求額に達するか、債権者が取り下げるまで継続することになります。

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