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弁護士コラム:【遺産相続】高等教育と特別受益

2023.03.12
1 相談例

私の父が先日亡くなりました。
父の遺産は預貯金や不動産があります。
私には兄がいるのですが、兄と半分ずつ遺産を分けるのはどうも納得がいきません。
と言いますのも、兄は、高校卒業後、地元を離れて国立大学に入学し、卒業後は就職せずに大学院に入りました。
父は兄に対し学費を全額援助していたのです。
一方で私は高校卒業後すぐに就職しました。
このように同じ兄弟でも境遇が違うので不公平です。

 

2 一般論

大学と大学院の学費の援助が生計の資本としての贈与にあたり、特別受益に該当するかが問題となります。
生計の資本としての贈与にあたるかは、被相続人の財産状況に照らして親族間の扶養義務の範囲内のものと評価できるかによって判断されると考えられています。

 

3 裁判例

平成19年9月6日大阪高裁決定では、相続人の一人が「教育出費には歴然たる差があり,Cが中学校・私立大学を通じて受けた学費・生活費の援助は特別受益とすべきである。」と主張していました。

これに対し裁判所は、「・・・本件のように,被相続人の子供らが,大学や師範学校等,当時としては高等教育と評価できる教育を受けていく中で,子供の個人差その他の事情により,公立・私立等が分かれ,その費用に差が生じることがあるとしても,通常,親の子に対する扶養の一内容として支出されるもので,遺産の先渡しとしての趣旨を含まないものと認識するのが一般であり,仮に,特別受益と評価しうるとしても,特段の事情のない限り,被相続人の持戻し免除の意思が推定されるものというべきである。」としました。

なお、実務では、私立大学医学部の入学金以外の学費は、親の子に対する扶養義務履行に基づく支出のため、特別受益にあたらないとされることが多いと思われます。

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