1 事実の調査
特別縁故者申立てがあった場合、裁判官は事実の調査を行うことになります。すなわち、「家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で、必要と認める証拠調べをしなければならない。」(家事事件手続法56条1項)とされています。
事実の調査の方法は、各裁判所によって異なります。調査官調査を行う場合もあれば、調査官調査はせずに書面審理のみで事実の調査を終える裁判所もあります。書面審理の場合は、申立人から提出された資料、相続財産管理人の意見書(家事事件手続法205条)、意見書に対する申立人の反論書面、申立人の反論書面に対する相続財産管理人の再反論書面まで調査する庁もあります。
なお、事実の調査を行った場合において、「その結果が当事者による家事審判の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは、これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければならない。」とされています(家事事件手続法63条)。
2 手続及び審判の併合
「同一の相続財産に関し特別縁故者に対する相続財産の分与の審判事件が数個同時に係属するときは、これらの審判の手続及び審判は、併合してしなければならない。」とされています(家事事件手続法204条2項)。この場合、申立人の一人から即時抗告があった場合、その全員について確定遮断効と移審効が生じることになります。不利益変更禁止の原則が働かないので、抗告審では原審よりも不利な判断がなされることもあります。