相続人の一人が被相続人名義の自宅に無償で暮らしていた場合、相続人の一人は特別受益が認められるか問題となります。
一般的には特別受益にあたらないとされています。理由は、①使用貸借は恩恵的なものであり遺産の前渡しとはいえないこと、②対抗力がなく明渡しが容易であり経済的価値が低いこと、③特別受益だとしても持戻し免除の意思表示を認めるのが相当であることです。
なお、相続人の一人が被相続人名義の自宅に被相続人と一緒に暮らしていた場合、特別受益にはあたりません。相続人の一人は占有補助者にすぎず、独立の占有が認められないので、受益ありとはいえないからです。