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弁護士コラム:【法改正】成年年齢引下げについて

2022.04.15
1 はじめに

「民法の一部を改正する法律」により,本年(令和4年)4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられることになりました。
これにより4月1日時点で18歳以上20歳未満の者,具体的には平成14年4月2日生まれから平成16年4月1日生まれの者は成年として扱われることになります。
そして,平成16年4月2日生まれ以降の者は,それぞれが18歳の誕生日を迎えた時点で成年に達することになります。
高校生に目を向けてみると,高校3年生になれば,4月以降に誕生日を迎えた生徒から成人なるので,教室の中には成人と未成年が混在することになります。例えば,ローンやクレジットを組むことができる生徒とそうでない生徒が同じ教室にいることになります。
以下では成年年齢の引き下げによってどのような変更点があったかについて説明していきます。

 

2 女性の婚姻開始年齢は18歳

改正前民法では,婚姻開始年齢について,男性を18歳,女性を16歳としていました(731条)。
しかし,今回の改正により,女性の婚姻開始年齢を男性同様,18歳となりました。

 

3 養親年齢は20歳を維持

改正前民法では,成年に達しないと養親になれないとされていました(792条)。
養親年齢について18歳に引き下げるという議論もありましたが,現状維持することとし,「成人」という文言を「20歳」に改正することになりました。

 

4 18歳から成年後見人等になれる

成年年齢の引き下げにより,18歳,19歳の者も,成年後見人や成年後見監督人になれることになりました(847条1号,852条)。

 

5 18歳から遺言執行者になれる

成年年齢の引き下げにより,18歳,19歳の者も,遺言執行者になれることになりました(1009条)。

 

6 18歳,19歳は未成年者取消権を失う

未成年者取消権は,契約者が契約締結時に未成年であったという理由のみ契約を取り消すことができる権利です。つまり,取消権行使に際し,契約締結の際の業者の勧誘文や態様,契約者側の認識がどうであったかは一切関係ないのです。このように未成年取消権は「鉄壁の防波堤」とも評価されているところですが,成年年齢の引き下げにより,18歳,19歳の者は行使することができなくなるわけです。

しかしながら,18歳,19歳の者は,知識,経験,判断力が不足しているので,合理的な判断ができない可能性は残っています。そこで,消費者契約法を改正し,18歳,19歳の者を救済するため,不安をあおる告知,恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用に基づく取消権が新たに創設されました。もっとも、これらの取消権だけでは不十分ではないか,いわゆるつけこみ型不当勧誘による取消権も創設するべきではないかという議論もあるところです。

 

7 養育費の終期

成人年齢引き下げにより、義務者から養育費の終期を18歳までとして欲しいと主張されることがあります。しかし、成人年齢引き下げと養育費の終期は連動しないとされているので、審判では20歳までとされていることが多いとされています。

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