横浜地判令和3年7月30日(自保ジャーナル2105号)では、原告はロードバイクを乗車中に事故に遭い右上顎骨折などを負ったのに対して、被告は原告が最初に治療を受けた病院のカルテに頸部、腰部、右足の症状を訴えた旨の記載が乏しいことを指摘の上、頸椎捻挫、腰椎捻挫、右膝関節の損傷は認められないと主張しました。
これに対して裁判所は「・・病院では、右顎骨骨折というより重大な傷害についての手術を伴う治療が優先されていたのであり、医師や看護師において、症状の確認やカルテへの記載がその点に限られてたとしても不自然でない」、「入院して安静状態であった原告においても、顔面の疼痛がある中で、その他の部位の症状について意識が低くなっていたことも十分に考え得る」として、被告の主張を排斥しました。