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弁護士コラム:【少年事件】被害者保護の制度について

2022.03.13
1 記録の閲覧謄写(少年法5条の2)

要件は、①犯罪少年、触法少年にかかる事件であること、②審判開始決定があること、③被害者の申出があること、④理由に正当性があること、⑤閲覧謄写の相当性があること、⑥決定から3年を経過していないことです。
したがって、審判不開始となった場合は閲覧謄写はできないことになります。

閲覧謄写の範囲は、法律記録のみ(少年法5条の2第1項括弧書)となります。
したがって、社会記録を閲覧謄写することができません。

裁判所は法律上付添人の意見を聞く必要がないので、付添人が気づかないうちに認められることがあります。付添人としては、少年のプライバシーや情操保護の観点から必要な場合には、一部あるいは全部不許可の意見書を提出することになります。なお、実務では、記録の閲覧をする被害者は少ないようです。

 

2 意見聴取(少年法9条の2)

要件は、①犯罪少年、触法少年にかかる事件であること、②被害者の申出があること、③意見聴取の相当性があることになります。

方法は、①審判期日での裁判官による聴取、②期日外での裁判官による聴取、③期日外での調査官による聴取、④書面提出(被害者が入院している等特別の事情がある場合に限定される)になります。
このように成人の被害者等による心情その他の意見陳述(刑事訴訟法292条の2)と異なり、期日外でも意見聴取が可能です。
実際、①はほぼ実施されておらず、②以下が多数にのぼっています。

意見聴取も裁判所が適宜の時期に行うとされ、特に付添人に意見を求めることは法律上必要とされていません。付添人としては、事前に意見書を提出する必要あります。

 

3 傍聴(少年法22条の4)

要件は、(1)犯罪少年、触法少年にかかる事件であること、(2)被害者の申出があること、(3)対象事件に該当すること、(4)傍聴の相当性があることになります。

(3)対象事件とは、①故意の犯罪行為により被害者を死傷させた罪、②刑法211条(業務上過失致傷罪等)の罪、③自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律4条、5条又は6条3項若しくは4項(過失運転致傷等)の罪であり、傷害した場合について「生命に重大な危険を生じさせたとき」に限定されています。

そして、「生命に重大な危険」とは死亡に至る蓋然性が極めて高い場合と解されています。

したがって、殺人未遂でも「生命に重大な危険」が生じていない場合は対象となりません。

(4)傍聴の相当性について、傍聴が不相当となりうるケースは、低年齢、希死観念あり、少年の性的虐待や出生の秘密にかかわる事項が顕出される、暴走族・暴力団・いじめ等報復の危険、被害者との交渉状況、情報流出、非行事実が争われている場合です。

傍聴の許可に際してはあらかじめ付添人の意見を聞かなければならないので(少年法22条の5第1項)、付添人としては、傍聴が不相当な場合には意見書を提出することになります。

許可された場合は、裁判所から通知がある(規則30条の12)ので、被害者の付添者の適格性、一時的な退席、人数制限、座る位置、進行についての配慮等についても、付添人として意見を述べることができます。また、期日においても退席を求めることができます。

 

4 審判結果の通知(少年法31条の2)

通知事項としては、入院年月日及び収容されている少年院の名称・所在地、少年院における教育状況(おおむね6か月ごとに通知)、少年院を出院した年月日、仮退院審理を開始した年月日、仮退院を許す旨の決定をした年月日、保護観察が開始された年月日や保護観察終了予定年月日、保護観察中の処遇状況(おおむね6か月ごとに通知)、保護観察が終了した年月日になります。

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