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弁護士コラム:【遺産相続】負担付き相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)の取消し

2021.12.18
1 負担付き相続させる旨の遺言とは

例えば「遺言者はすべての財産を長男に相続させる」「前項の相続の負担として、長男は遺言者の次男の生活を援助するものとする。」という遺言があったとします。この遺言は負担付き相続させる旨の遺言といいます。

2 負担付き遺贈の準用

ところで、負担付き遺贈の場合、「負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができる。この場合において、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる。」とされています(民法1027条)。

これに対して、負担付き相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)の場合、民法1027条のような定めはありません。もっとも、相続させる旨の遺言は遺産分割方法の指定ですが、その権利移転効果は遺贈と類似しています。そのため、負担付き相続させる旨の遺言にも民法1027条の規定は準用されると解されています。

よって、先の例では、次男は、長男が生活の援助をしなかった場合、長男に義務の履行を催告し、それでも援助が受けられなかったとき、家庭裁判所に対して遺言の取消しを求める申立てを行うことができます。

3 仙台高裁令和2年6月11日決定

この事案では、遺言には「生活の援助をすること」と抽象的に記載されていましたが、同決定は、原審と同じく、月3万円を援助する義務があると認めました。もっとも、たしかに相続人には計111万円の不履行があるが、遺言の文言が抽象的であり解釈が容易でないこと、相続人は今後も一切の履行を拒絶しているわけではないこと、義務の内容が確定すれば履行する意思があることからすれば、相続人の責めに帰することができない事情があり、遺言を取り消すことが遺言者の意思にかなうものではないとしました。

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