1 はじめに
長年にわたりマイナス申告自営業者が交通事故により亡くなった場合における死亡逸失利益(稼働分)について、京都地判令和3年3月23日判決(自保ジャーナル2096号)を紹介します。
2 裁判所の判断
亡自営業者の直近5年の申告所得額はいずれもマイナスでした。そのため被告側は死亡逸失利益(稼働分)は一切認められないと主張しました。これに対して裁判所は、直近5年間の売上金額から売上原価を除いた金額は400万円ほどであること(※夫婦で雑貨店経営)、毎月の生活費は25万円程度であること(年間300万円程度)を考慮し、基礎収入は、亡自営業者の年齢の賃金センサスの平均賃金の60%である280万1100円としました。
3 補足
税務申告額について税務署の受付印がないと、被告側から、実際に申告されたか不明であり、信用できないと主張されることがありますので、注意が必要です。