1 はじめに
組織的犯罪処罰法10条1項は4つの行為を禁止し、違反した者に対して5年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとしています。今回は、4つのうち、犯罪収益等の取得につき事実を仮装する行為(犯罪収益等取得事実仮装罪)について説明します。
2 犯罪収益等の取得につき事実を仮装する行為
これには、取得の原因を仮装する行為と、取得した犯罪収益等の帰属を仮装する行為があります。後者の例は、犯罪によって被害者から得た現金(オレオレ詐欺で被害者から詐取した現金)の帰属を仮装するために、他人名義の口座に振り込ませることを挙げることができます。なお、その口座を提供した者は、関与の度合いに応じて幇助犯か共同正犯になります。