1 強姦罪から強制性交等罪へ
刑法改正により強姦罪の罪名は強制性交等罪となりました。罪名だけでなく、客体と行為が拡張されることになりました。
まず客体の拡張について。改正前は女性のみでしたが、改正後は男性も含まれることになりました。
次に行為の拡張について。改正前は女性器に男性器を挿入する行為のみでしたが、改正後は口腔性交と肛門性交も含まれることになりました。口腔性交と肛門性交は強制わいせつ罪の守備範囲でしたが、改正後は強制性交等罪で処罰されることになりました。
2 法定刑の引き上げ
強姦罪の法定刑の下限は3年でしたが、強制性交等罪は5年となりました。引き上げの理由は様々なものがありますが、他の罪との均衡が大きいと思われます。すなわち、強盗罪と現住建造物等放火罪の法定刑の下限は5年のところ、強姦罪のそれが3年なのは相対的に低すぎないかという考慮が働いたものと思われます。
実務上重要なのは、引き上げにより執行猶予判決がつかなくなったことです。
3 強制性交等罪の量刑傾向
近時は、強制性交、口腔性交、肛門性交の3つとも、初犯で、被害者と示談が成立したとしても、執行猶予判決はほとんどつかないとされています。つまり強制性交等罪はほぼ一発実刑の犯罪類型になりました。よって起訴されてしまえば実刑なので、起訴前に、被害者と示談し、起訴猶予処分を得ることが重要となります。