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弁護士コラム:【遺産相続】特定財産承継遺言作成の注意点

2021.01.02
1 はじめに

被相続人が同居中の次男に対して全ての遺産を相続させる旨の遺言を作成したとします。ところが被相続人が亡くなる前に次男が亡くなってしまった場合、次男の子(代襲相続人)が次男に代わって全ての遺産を相続できるのでしょうか。
遺贈の場合は、「遺贈は、遺言者の死亡以前に受益者が死亡したときは、その効力を生じない
。」(民法994条)とされています。これに対し、相続させる旨の遺言は、明文の規定がないため問題となります。

 

2 特段の事情がない限りできない

この問題について最高裁判所の裁判例があります。

すなわち、「当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には、当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから、遺言者が、上記の場合には、当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、その効力を生ずることはないと解するのが相当である。」(最判平23・2・22判時2108・52)とされています。

これによれば、特段の事情がない限り、次男の子は全ての遺産を相続することはできません。よって、被相続人が改めて次男の子に全ての遺産を相続させる旨の遺言を作成しない限り、遺産分割協議が必要になります。

 

3 遺言書作成の注意点

以上の最高裁判例を踏まえると、被相続人は、次男が自分よりも先に亡くなった場合に備える必要があります。
そこで、例えば、遺言書の中に「遺言者は全ての遺産を次男に相続させる。次男が遺言者と同時に又は遺言者よりも先に死亡したときは、全ての遺産は次男の子に相続させる。」という文言を入れるべきでしょう。
公正証書遺言を作成する場合、公証人が上記のような文言を入れてくれるので、そこまで気にする必要はありませんが、自筆証書遺言を作成する場合は注意が必要になります。

 

4 最後に

以上、特定財産承継遺言作成の注意点についてご説明しました。
イーグル法律事務所では相続のご相談は無料で承っております。お困りの方はお気軽にご相談ください。

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