1 はじめに
会社員(サラリーマン)が交通事故のため休業を余儀なくされた場合、加害者の保険会社に対して休業損害を請求できます。
この時、保険会社には,休業損害証明書と(前年度の)源泉徴収票を提出する必要があります。もし源泉徴収票が無い場合は所得証明書を取得する必要があります。
では、休業損害はどのように計算するべきでしょうか。
以下、具体的に検討していきます。
2 具体例
Kさんは、令和元年11月に交通事故に遭いました。
8月から10月の給与は合計60万円、総日数は90日、稼働日数は60日、休業日数は20日とします。
この場合Kさんの休業損害はいくらとするべきでしょうか。
3 前提
まず、休業損害の計算において、給与には本給のほか付加給(残業手当、住宅手当等)が含まれます。
また、税金や社会保険料は控除せずに計算します。
さらに、基礎収入日額は、事故前の給与3ヶ月分を総日数(又は稼働日数)で割って算出します。
4 総日数で計算した場合
保険会社は、基礎収入日額を総日数で計算してくることが多いです。
そうすると、先の例では、基礎収入日額は60万円÷90日=約6667円となります。
そのため、休業損害は、6667円×20日=13万3340円となります。
5 稼働日数計算した場合
基礎収入日額を稼働日数で計算すれば、60万円÷60日=1万円となります。
そのため、休業損害は、1万円×20日=20万円となります。
このように総日数で計算するよりも稼働日数で計算した方が7万円弱多くなります。
そのため、被害者側とすれば稼働日数を前提に交渉するべきでしょう。
ちなみに、学生アルバイトの休業損害について、被告側が90日間で除するべきと主張したのに対して「アルバイトはシフト制勤務が通常であるから」稼働日数で除するのが合理的した裁判例があります(名古屋地裁令和3年6月16日)。
6 賞与(ボーナス)が減額された場合
ちなみに、Kさんは賞与(ボーナス)をもらっていましたが、事故により減額又は不支給となったとします。
この場合、Kさんは、会社に賞与減額証明書(賞与支給規程が添付されていることが望ましいです)を作成してもらい、保険会社に提出することになります。
他方で、Kさんの会社が賞与支給規程を作成していない場合、例えば、事故前年度の賞与額,給与額及び年収と、事故年度の賞与額,給与額及び年収とを比較の上、減額分を計算することが考えられます。
7 最後に
以上、会社員の休業損害の計算方法について説明しました。
交通事故でお困りな方はイーグル法律事務所までご相談ください。