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弁護士コラム:【交通事故】交通事故で顔に傷を負った事案における後遺症逸失利益

2020.10.09
1 はじめに

交通事故で顔に傷を負い,治療してもらったにもかかわらず傷が残ってしまったとします。
この場合,被害者は,傷の大きさによっては,後遺症逸失利益を請求できます。

この問題は,いわゆる外貌醜状と後遺症逸失利益の問題になります。

 

2 外貌醜状とは

そもそも,外貌醜状とは,首より上,つまり頚部,顔面部,頭部の日常露出する部位に醜状痕が残った後遺障害のことをいいます。

 

3 外貌醜状の等級について

外貌醜状の等級は3つに分類されます。
すなわち,7級が「外貌に著しい醜状を残すもの」,9級が「外貌に相当程度の醜状を残すもの」,12級が「外貌に醜状を残すもの」と分類されています。

各等級の具体的な認定基準は,労災補償の障害認定必携に詳しく記載されています。
例えば,12級の「外貌に醜状を残すもの」としては,長さ3㎝以上の線状痕があることとされています。
従って,線状痕が2.5㎝であれば,3㎝未満なので,12級の後遺障害は認められないことになります。

なお,このように認定基準に僅かに満たないようなケースにおいて,訴訟提起すれば,慰謝料の増額事由として考慮される場合もあります。

 

4 醜状痕の後遺症逸失利益について

醜状痕を理由とする後遺症逸失利益は,誰でも認められるわけではありません。
なぜなら,外貌醜状それ自体は,肉体的な労働能力に直ちに影響を与えるわけではないからです。

そこで,裁判例には,被害者の職業や年齢などを考慮して,個別具体的に判断されると言われています。

例えば,被害者がモデルや営業担当であれば,顔の傷は大きさや場所によっては仕事に影響するので,逸失利益が認められる傾向にあります。
他方,被害者が事務職などデスクワークであれば,顔の傷が仕事に影響するとは必ずしも言えないので,逸失利益は認められにくい傾向にあります。

また,まだ就職していない若年の男女であれば,職種によっては就職の道を閉ざされることになり,職業選択の自由が制限されることになります。
そのため,若年の未就労の男女であれば,逸失利益が認められやすい傾向にあるといえます。

さらに、頭部の外貌醜状については、傷痕の部位や形状、大きさからして、頭髪を伸ばすことで隠れる場合は、直ちに労働能力に影響するものではないとして、後遺障害を否定した裁判例もあります(男子、症状固定時の年齢11歳。さいたま地裁令和4年1月18日)。

 

5 最後に

以上,外貌醜状の後遺症逸失利益についてご説明しました。
交通事故でお困りの方はイーグル法律事務所までご相談ください。

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